電子帳簿保存法はDXの流れで大きくとらえましょう
様々な業界で、ITの活用が進展しています。そしてそれは「業務の中でITを活用して効率化しよう」という考え方から、「ITを使って業務そのものを再定義しよう」という考え方にシフトしています。このように、ITが業務のあり方を変化させるような事象を、「トランスフォーメーション」という英語を使って「DX(デジタルトランスフォーメーション)」等と呼ぶようになっています。
従来からのITサービスが、法律をも変えています。ITの有効性を活用できるように、既存の枠組みが変わってきているのです。
会計の業界では、「電子帳簿保存法」と呼ばれる法律が徐々に変化してきています。
ここでは、簡単に現状の電子帳簿保存法の要求事項を整理した上で、弊社の体制をご紹介いたします。
【電子帳簿保存法の概要】
従来、原則紙での保存が義務付けられている帳簿書類について、
・電子データでの保存を「可能にする」こと、及び
・電子取引情報の保存を「義務付ける」こと
を定める法律です。令和3年5月改正は、令和4年1月より施行されます。
ここでポイントは、「可能にする」すなわち、できる規定と、「義務付ける」すなわち、しなければならない規定の2種類があるという点です。
では、何が「できる」ようになり、何が「しなければならない」事項になったのでしょうか?
【可能となったもの】
紙で保存していたものを、データで保存「できる」ようになります。これにより、紙の印刷コスト、紙での保管コストが削減できます。
この手続きには、従来、税務署長への事前承認が必要でしたが、令和3年5月改正により、事前承認不要となりました。
【義務となったもの】
「電子取引」という用語を覚えていただきます。
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律第二条第6項
電子取引 取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。
例えば請求書をメールで送る行為などが電子取引に該当しますね。
このような電子取引について、以下の改正がなされています。
申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、その電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置は、廃止されました。
つまり、「電子取引を紙に出力して保存するのはダメ」ってことですね。
データで受け取ったものは、データのまま保存する必要があるということです。
従来の感覚からするとかなり違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。
【ポイント】
・紙で保存していたものはデータで保存「できる」。
・データで入手したものはデータで保存「しなければならない」。
大切なのは、データの客観性(正しいデータであること)や、追跡可能性(検索すれば見つけられること)を担保することでしょうか。
【改正に関する所感 ~DXの流れでとらえましょう~】
電子帳簿保存法に関する改正は、改正に改正を重ねています。しかも改正ごとにかなり要求事項が変化しています。
私の所感ですが、電子帳簿保存法は、DXの進展に合わせて、より人々の事務負担が軽減される方向に進んでいくと考えています。すなわち、令和4年1月からの施行ルールが最後であるとは考えていません。
なぜならば、ITは人々の業務を効率化するために存在しており、DXはさらに人々の業務の在り方をより楽な方向へ変えているからです。
ですので、上記改正によってもまだ残る「面倒さ」や「非効率性」は、さらなる改正によってなくなっていくのではないかと考えています。
【弊社の取り組み】
弊社は、お客様からお預かりした領収書・レシート等の紙データは、すべてスキャンしたうえでサーバ管理し、会計freeeにアップロードしたうえで会計処理しています。ですので、会計記録の客観性、および追跡可能性を担保する仕組みを整備しております。
会計freeeをwebブラウザで眺めて、データをクリックすると関連証憑が見られる。
これって一昔前に想像できたでしょうか?まさにDXだと思っております。
ペーパーレスや、人の手が介在しない仕組み作りは、人口問題や環境問題とも関連します。人手不足や資源需要の影響を受ける前に、デジタルを使ってより良い業務プロセスを構築しましょう!