インボイス制度は早めの「対策」を

2021/10/01 ブログ
ブログのポイント
インボイス制度は消費税計算に影響するもの。
消費税計算を有利にするためには適格請求書が必要。
適格請求書発行事業者になるには消費税納税が必要。

 

お客様から、インボイス制度について簡単に教えてくれ、とのお声をよくいただきますので、少しまとめたいと思います。データソースはすべて国税庁です。

 

国税庁サイト

 

まず、インボイスとは何かを整理し、インボイス制度を2つの立場から考えます。そのあと、インボイス制度により何が変わるかをまとめ、事業者がとるべき対策を考えます。

 

 

1.インボイスとは

 

なぜか横文字で書かれているのですが、これ、「請求書」という意味ですね。

 

念のため、請求書を使った一般的な取引テンプレを記載しておきます。

 

モノを売ったり、サービスを提供したら、売り手は、買い手に対して請求書を発行し、同額を売上に計上する。買い手は、請求書に書かれた金額を売り手に支払い、同額を仕入や経費に計上する。

 

2.インボイス制度

インボイス制度を3ステップで理解しましょう。

 

step1.請求書を、以下の2つに分けます。

・「適格請求書」(意味は後述します)

・「適格請求書」以外

 

step2.消費税計算方法を整理します。

納める消費税=売上で受け取った消費税ー仕入で払った消費税

 

step3.消費税計算と、請求書の関係を把握します。

「仕入で払った消費税」として認められるもの:適格請求書のみ。

 

以上です。この3点を日本語でまとめます。

 

「インボイス制度下では、消費税計算の控除項目である仕入で支払った消費税として認められるのは、適格請求書に限定される」

 

すなわち、消費税を納めるにあたって、適格請求書でなければ消費税計算上控除項目が小さくなり、納税額が増えてしまうわけですね。

 

このため、インボイス制度が始まると、適格請求書がスタンダードになっていくことが予想されます。

 

ところで、適格請求書って何でしょうか??国税庁のサイトから引っ張ってきます。

 

適格請求書とは、「売手が、買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」であり、一定の事項 が記載された請求書や納品書その他これらに類する書類をいいます。

 

うーんよくわかりませんね。ちゃんとした請求書というくらいでしょうか。

 

実は大事なのは上記の定義そのものではなく、以下の「要件」です。

 

適格請求書を交付できるのは、適格請求書発行事業者に限られます。

適格請求書発行事業者となるためには、税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」(以下「登録申 請書」といいます。)を提出し、登録を受ける必要があります。なお、課税事業者でなければ登録を受けるこ とはできません。

※ 適格請求書発行事業者は、基準期間の課税売上高が 1,000 万円以下となった場合であっても免税事業者にはならず、消費税 及び地方消費税の申告義務が生じますのでご注意ください。

 

難解と思われる方もいらっしゃるかと思いますので、三段論法を使って理解しましょう。

 

~三段論法の整理~

・AならばB

・BならばC

・ゆえにAならばC

 

~あてはめ~

・適格請求書を発行するためには、適格請求書発行事業者にならなければならない

・適格請求書発行事業者は、消費税の申告・納付をしなければならない

・ゆえに、適格請求書を発行するためには、消費税の申告・納付をしなければならない

 

 

お分かりいただけたでしょうか。

 

今後スタンダードになっていくと考えられる適格請求書は、消費税を申告・納付する事業者のみが発行できるものです。つまり、この制度は、今まで消費税申告義務のなかった免税事業者にも、消費税申告納付を間接的に求める制度だと解釈することができます。

 

念のため売り手と買い手の立場から、インボイス制度によりどのような意識の変化が起こるかを整理しておきます。

 

売り手と買い手という用語に慣れていない方のため、上に書いた一般的な取引テンプレを貼り付けておきます。

 

モノを売ったり、サービスを提供したら、売り手は、買い手に対して請求書を発行し、同額を売上に計上する。買い手は、請求書に書かれた金額を売り手に支払い、同額を仕入や経費に計上する。

 

<売り手の意識の変化>

今までは、消費税を納める必要のない免税事業者だったが、それだと適格請求書を発行できないので、消費税申告・納付をして、適格請求書を発行できるようにしなきゃな。

 

<買い手の意識の変化>

これからは、適格請求書がないと消費税計算が不利になる。だから、今までは、消費税を納めていない事業者とも取引していたが、これからは、適格請求書を発行できる事業者と取引しよう。

 

補足:免税事業者とは、消費税を納める義務のない事業者で、基準期間(事業年度の2年前)の課税売上高が1,000万円以下の事業者や、そもそも基準期間の存在しない事業開始後2年未満の事業者等が挙げられます。なお、免税されない(すなわち消費税の申告納付を行う)事業者を、反対に課税事業者と呼びます。

免税事業者

 

3.とるべき対策

<売り手側>

・適格請求書発行事業者になる。

買い手が消費税の申告納付を行う事業者ならば、売り手は取引対象として淘汰されてしまう可能性があります。そこで、遅くともインボイス制度が開始するまでに、適格請求書発行事業者になる必要があります。

 

インボイス制度は、令和5年(2023年)10月1日より適用されます。これに間に合わせるためには、令和5年3月31日までに、「適格請求書発行事業者登録申請書」を税務署に提出する必要があります。

登録申請のスケジュール

 

・適格請求書を交付し、写しを保存する。

当然ながら、適格請求書を正しく作成・交付する必要があります。そして、その保存までを求められています。

 

<買い手側>

・帳簿に以下の情報を記載し、適格請求書を保存すること。

-仕入先名称

-取引年月日

-取引内容(軽減税率対象品目である旨)

-仕入金額

 

基本的な情報の記録と、適格請求書の保存が要求されていますね。

 

・今後の仕入れ先を検討する

中小企業、個人事業主の中には、免税事業者少なからずいます。買い手としては、消費税計算で不利益を被らないように、買い手に対して適格請求書が発行できるようにしているか確認したり、場合によっては、適格請求書が発行できる事業者との取引に切り替えるという意思決定が行われる可能性があります。

 

4.おまけ~弊社でできること~

・「適格請求書発行事業者登録申請書」の作成・提出サポート

まずはお客様のご状況を把握・整理したうえで、申請すべきか否かのご判断に資する情報を提供いたします。

 

・適格請求書発行事業者になった場合の消費税の試算

免税事業者がいきなり課税事業者になる場合、今まで払っていなかった消費税を払うことになりますので、資金繰りに大きな影響が出てまいります。消費税を試算することで、今後の資金繰りに資する情報提供をいたします。

 

・適格請求書の発行・保管方法に関するご提案

適格請求書の発行様式や、保管について国税庁の要求事項を満たすため、発行方法や保管方法についてご提案いたします。基本的には、ITを使ったご提案となります。電子帳簿保存法との相性を良くしておくのが吉、と考えております。

電子帳簿保存法はDXの流れで大きくとらえましょう